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【レポート】7月19日開催「一般社団法人日本ファームステイ協会主催/スタートアップミーティング 世界基準で民泊を考える 〜これからの農泊・ファームステイ〜」

いつも当協会の活動にご理解頂き、誠にありがとうございます。

また、この度の北海道地震・関西地方の台風により被災された皆様ならびにそのご家族、関係者の方々に心よりお見舞い申し上げます。
皆様の安全と被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。

去る、7月19日に、東京都中央区の時事通信社本社ビル7F会議室において、
「一般社団法人日本ファームステイ協会主催/スタートアップミーティング 世界基準で民泊を考える ~これからの農泊・ファームステイ~」
が開催されました。
当協会今年初のイベントになります。
今回は、イベント当日のご様子をご報告致しますので是非ご一読ください。


719日、一般社団法人日本ファームステイ協会(JPCSA)の主催によるスタートアップミーティング『世界基準で民泊を考える ~これからの農泊・ファームステイ~』が、時事通信社本社ビルで開催されました。

日本を訪れる外国人観光客は今年上半期、前年同期比15.6%増の15899000人(日本政府観光局推計値)。年間3000万人を超えるペースで増加しており、インバウンド市場への注目は日ごとに高まっています。その一方で、外国人観光客を受け入れるべき農山漁村は未だに課題を抱えているのが現状です。

そのような中で開かれた今回のスタートアップミーティングでは、「世界基準で民泊を考える」をテーマに、行政関係者による報告、基調講演や特別講演、パネルディスカッションと多彩な形式で最新トピックスが共有されました。猛暑日にも関わらず、会場は200人以上の来場者でにぎわい、ファームステイに対する関心の高さをうかがわせました。

開会挨拶を務めたのは、協会副会長理事の皆川芳嗣氏。皆川氏は「以前、集落の活性化を図るために農泊に取り組んでいる兵庫県の丸山集落にお邪魔したことがある。今は多くの方々が農泊体験に訪れるのを見てきた。そういった取り組みがもっと広がっていくことを心より期待している」と語りました。

続いて、協会会長理事の平井伸治氏のビデオメッセージを公開。公務のためあいにく欠席となりましたが、「農村には豊かな自然と体験、素晴らしい食材がある。安心できる日本の民泊の情報を世界に向けて発信して、世界中から人が集まる仕組みが生まれつつある。私たちは可能性があると思っている。一歩先のファームステイで新しい時代を開いていきたい」と、力強いメッセージを会場に届けました。

スタートアップミーティング最初のプログラムは、農林水産省・日置秀彦氏による「農泊の推進について」。「政府全体が観光政策の一環として農泊に取り組んでいる」と前置きした日置氏は、平成29年度に50億円の農泊推進対策を新設して205地域を支援した取組実績や、平成30年度の取組状況、具体的な支援対策の内容、長野県飯山市と兵庫県篠山市で行われた農泊の取組事例を解説しました。

続いて、「我が国の観光現状とこれからの観光政策の展望」について、国土交通省・蔵持京治氏が説明を行いました。蔵持氏によると、2017年の訪日外国人旅行消費額は44162億円で、これは電子部品の輸出額を超える水準になっているといいます。政府が掲げている「明日の日本を支える観光ビジョン」の新たな目標や、古民家といった歴史的資源を活用した観光まちづくりの推進などについて解説した蔵持氏は、最後に「観光とは、国の光を観る・観せるという意味。もちろん、ビジネスとしてやっていくことが大前提なので、単に“観る”ではなく、ちゃんと地域が活性化する形で歴史を作っていけるように進めてもらいたい」と締めくくりました。

「子供の農山漁村体験の推進について」の報告を行ったのは、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局の南格氏。農山漁村体験には小・中学生30万人超、高校生10万人超が取り組んでいますが、ほとんどが12日または23日の短期間の体験にとどまっているのが現状といいます。そこで、関係省庁では平成29年度から連絡会議を設置し、小中高等学校における農山漁村体験の数値目標の設定をはじめ、45日などの長期間の取組に対する支援の拡充、コーディネートシステムの構築などを検討していると解説しました。

また、協会理事の藤本隆明氏は「日本ファームステイ協会がめざすもの」をテーマに説明を行いました。藤本氏は「日本ファームステイ協会は、農泊およびファームステイを営む事業者への支援を通じて、旅行者が繰り返し訪れたくなる地域の魅力を創り、その品質向上・維持・情報発信によって日本における農林漁村の所得向上、地域の活性化を目指している」と強調。そのための活動内容として、利用者に安全・安心・満足を提供する農泊の「品質認証制度」の構築、農泊事業者と支援事業者とのマッチングサービス、情報発信サポートの3本柱を想定していると伝えました。また各内容の詳細についても説明しています。

10分の休憩を挟んだ後、Google合同会社広告営業本部で観光立国推進部長を務める陳内裕樹氏による基調講演「農泊×デジタルで変わる地方のミライ」が行われました。デジタル活用の世界的な潮流について知った参加者たちは、農泊・ファームステイにおいても戦術・戦略にデジタル技術が必要不可欠であることを強く認識することができました。

その余韻が残るなか、一般社団法人日本インバウンド連合会理事長・中村好明氏による特別講演が行われました。テーマは「観光立国時代における地方×インバウンドのインパクト」。

「現在は人やモノ、お金、情報が国境を超えて動き出している時代。これからは、誰かに頼ってばかりではなく、みんなで支えていくパラダイムのシフトが必要」と強調した中村氏は、工業デザイナーの水戸岡鋭治氏の言葉をモチーフに、わが国の観光立国の実現のためには「米仕事」と「花仕事」が必要と力説。米仕事とは稼ぐための仕事であり、花仕事とは公共への貢献を意味します。続けて、「米へんに花と書いて『糀』になる。糀の語源は『醸す』。つまり、みんなが地域を醸すリーダーになることが、ファームステイの成功につながる」と解説しました。

最後のプログラムとして、パネルディスカッションが行われました。ファシリテーターを東洋大学名誉教授で協会品質認証支援研究所所長の青木辰司氏が務め、パネリストには特別講演を行った中村氏、協会代表理事で株式会社百戦錬磨代表取締役社長の上山康博氏、日本航空株式会社の本田俊介氏、フルフォードエンタープライズ社CEOのアダム・フルフォード氏を迎えました。

ディスカッションに先立ち、浜松やらまいかHamaTENASee地域協議会代表の大倉正幸氏が、農泊の実例として浜松での農泊の取り組みを紹介。そのような現場の実態を踏まえた上で、パネリストたちは「民泊事業の成否のカギとなる多様化と個性化」「外国人受け入れの対策」など、様々なテーマについてクロストークを展開しました。

協会理事の岡崎浩巳氏よる閉会挨拶のあとには、軽食が用意された交流会も。

特別講演を行った中村好明氏は、今回のスタートアップミーティングについて、「ファームステイがしっかりと儲かる産業になるためには、協会のようなアソシエーションが必要。今日が農泊・ファームステイを産業化していくターニングポイントになればいい。今後、農泊の品質認証制度が設けられれば、それがモチベーションになってPDCAサイクルを回すエンジンになると期待している」と語ってくれました。

パネルディスカッションに参加したアダム・フルフォード氏は「各所の関係者がファームステイという方法で地方創生に貢献しようとしている。今日飛び交った情報は、これからぜひ活かしていきたい内容ばかりで、大変勉強になった。それを元に、外国人という自分の立場で日本の農泊について考えていきたい」と、目を輝かせながら述べました。